HTTP/1.1 (RFC 7230 〜 7235) の改訂作業がはじまる

2021/10/21 追記。変更点について別記事を書きました。
asnokaze.hatenablog.com


HTTP/1.1の仕様は下記の通り、6つのRFCで標準化されています。

これら、HTTPリクエスト・レスポンスヘッダや、ステータスコード、キャッシュや認証の仕組みといったHTTPの意味(セマンティクス)はHTTP/2でもHTTP over QUICでも変わっていません。

つまり、引き続きHTTPのセマンティクスを定義しているこれらのドキュメントは整備(メンテナンス)し続ける必要があります。

また、今回の作業によりHTTP/1.1のシンタックスと、HTTPのセマンティクスの仕様を分離することで、HTTP/3などからはセマンティクスの仕様を参照でき、仕様としてより整理された形となります。

RFCは一度出てしまうと変更することは出来ず、errataと言うかたちで訂正が蓄積していきますが、どこかで改訂版を出す必要が出てきます。上記RFCが出て4年が経ち既にIssueはいくらか溜まっており、その一覧はhttpbis WGのgithubリポジトリで確認できます。現状では48個のissueが登録されています。
github.com

そこで、IETFのhttpbis WGでは、次のHTTP標準の改訂作業が行われる機運が高まっており、前々回のIETF99(2017年11月頃)でもその議論が行われています。発表資料は以下のより確認できる。
github.com

HTTP/1.1は既に一度改定しており、その時は次のHTTPと言う意味で、HTTPbisと呼ばれていました。そして3回目の改訂としてHTTPtreと呼ばれるのが今回のドキュメントです

  • 最初: RFC 2616
  • HTTPbis: RFC 7230 〜 7235
  • HTTPtre: 次のドキュメント

(ちなみに、WGの名前はhttpbisのままで行くようです)

HTTPtre

本日、そのHTTPtreのドラフトが提出されました。Authorは、HTTPbisの改訂でも根強く尽力されたJulian F. Reschke氏と、Roy T. Fielding氏です。

それぞれ、RFC 7230 〜 7235と対応して、各改訂版は下記のとおりです。

Message Syntax and RoutingはHTTP/1.1固有のものですが、それ以外はHTTPとしてのセマンティクスを定義しているため、ドキュメントタイトルから1.1という部分がなくなっています。

これらのドキュメントは、個人ドラフトの00版ですがすでに変更が入っており、各ドキュメントの最後に変更点が記述されています。

HTTPtreのスコープとスケジュール

HTTPtreの作業項目と、そのドラフト更新の目処については、チェアのmnotが去年の段階で言及しています。
DRAFT: more details for HTTPtre

それを見るとHTTPbis(6年かかった)に比べれば、短い期間で改訂作業が進められそうです。

まずは、このドキュメントを元に、今月行われるIETF101で議論を行い、これから編集作業が進んでいくものと思われます。

追記: ドキュメントは3つに統合

HTTPtreよりも、HTTP Core Documentsと呼ばれるようになりました。

現在は、3つの仕様に統合され、HTTPのセマンティクス、HTTP/1.1のフォーマット、キャッシュに関する3つの文書に整理されています。