Web5Gとはなんなのか

W3Cでは、「Web5G」を掲げ5G及び関連するネットワークの進化に向けて、それにあわせたWeb標準技術・APIを模索しているようである。

個人的な印象としては、ネットワークレイヤとWebアプリケーションレイヤが連携するようなイメージでいる。ネットワークを性能ごとに切り出して提供するネットワークスライスや、ネットワークエッジで処理を行うモバイルエッジコンピューティング(MEC)を具体的に想定しているものもあれば、そうでないものもある。

すでに幾つかの資料がネット上に上がっており、僕は5Gは全然詳しくないが、今回は「Web5G Roadmap」と「Web5G Workshop」を眺めつつ、どのような事が思い描かれているかみていく。

5Gとどのように関わるかわからないが、BBCのネットワークエッジまで HTTP over QUICマルチキャストで配信する例は非常に興味深い

Web5G Roadmap

W3Cのロードマップの中に「Web5G Roadmap」というページがある。既に標準化が進められている仕様の他に、「Features not covered by ongoing work」として将来思い描いている機能の一部が紹介されている。

特に「Network Control」に書かれている部分は興味深い

Real-time adaptative to live network conditions

エッジに設置され使用されるマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)によって、現在のネットワーク環境をリアルタイムにサーバ(クライアントへも?)に通知されるようなネットワークの登場が考えられている。そのときにブラウザはアプリケーションにどのような情報を提供すれば良いのか考えているようだ

セルラネットワークから、サーバへの情報提供可能にするメカニズムとプロトコルIETFで議論されているようだ。
Mobile Throughput Guidance Inband Signaling Protocol

Adaptation to cost of network operations

以前書いた、Mobile Data Plan Sharing APIのように、ユーザでデータPlanと連携する仕組み。ユーザが使っていない時にあわせてバックグラウンドで同期する仕組みなどを一般化できるか考えているようだ
asnokaze.hatenablog.com

Network-provided optimizations

WebRTCでは、アプリケーションプロパイダがNATやファイアウォールを超えるためのリレーサーバ(TURNサーバ)を提供しています。

ネットワーク事業者がこれらをサービスとして提供できるようなる仕組みが、「Operator-Assisted Relay Service Architecture (OARS)」で考えられている

Prioritization in enterprise networks

AppleCiscoは、ビジネスアプリケーションに最適化されたエンタープライズネットワークを提供するために協力してきました(URL)。これをWebアプリケーションへも拡張できるか?

Web5G Workshop

5/10 ~ 5/11にかけてイギリスで「W3C Web5G Workshop」が行われました。その資料が上がっているので幾つか絵を紹介する

Enabling the thrilling applications that will drive usage of 5G networks

Web技術やプロトコルの進化や利用の広がりがまとめられている(ppt URL)。その中で「Integration of the Network Protocol Layer」というスライド、Webとネットワーク制御レイヤが連携する図が出ている。

以下の図では2つの例が出ており、ブラウザからネットワークの情報を取得したりパラメータをセットする。

  • ブラウザから、Network Controle Endpointに対し現在のネットワーク状況を問い合わせ取得する。取得した情報をJavaScript APIでアプリケーションに提供する
  • ブラウザからNetwork Controle Endpointに対してnetwork adaptationを要求し、ネットワークに対してQoSが設定される

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Network advances for Media: Server Push

BBCの発表(スライドURL)。動画は、MPEG-DASHでユニキャスト配信されており、その量が増えているという話のようだ。

そのなかで、ネットワークエッジにデバイスを設置し、そこまでマルチキャストで配信して、そこからユニキャストで配信などやっているようである。

BBCではQUICの利用を考えているようで、IETFでもQUICを用いたマルチキャストやサーバプッシュに関する拡張を提案している。

workshopでのこの一枚が象徴的で、ネットワークエッジまで HTTP over QUICマルチキャストで配信し、そこから先をユニキャストで配信することを考えているようである
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Immersive Web & 5G

サムスンのWeb, XR, 5Gに関する発表(スライドURL)。

おそらく、低レイテンシで帯域が増えるとゲームやXRにとって良いという話

The evolution of the Web to enable greater network collaboration

IETFでのworkの話。レイヤが違くてあまり良くわからない...

Web5Gとはなんなのか

よく分からない