GREASE for HTTP/2 の提案仕様

AkamaiのMike Bishop氏から、「GREASE for HTTP/2」という提案仕様が出ています。

HTTP/2では、未知のフレームタイプとSETTINGSパラメータは無視するようになっています。これは、将来HTTP/2を拡張できるようにするためで、実際に「RFC 8336 The ORIGIN HTTP/2 Frame」では新しくORIGINフレームを定義しています。新しい機能をつかっても、未対応な実装にはただ無視されるだけですので、利用しやすいです。

本来は未知のフレームやSETTINGSは無視すべきですが、未知のSETTINGSパラメータによって通信を終了する実装があるようです(URL)。このような実装は、将来の拡張を妨げる原因になります。

そこで、HTTP/2にもGREASEを導入するのが今回の提案です。また、HTTP over QUICにおいても同様の仕組みが盛り込まれるかもしれません。

GREASE for HTTP/2

GREASEとは

TLSにおけるGREASE、「Applying GREASE to TLS Extensibility」についての解説が詳しいです
jovi0608.hatenablog.com

ちゃんと、未知のパラメータが無視されるように、GREASE用の意味を持たないパラメータを送信します。これによって、日頃から未知のパラメータを受け取っても不具合を起こさず無視する実装であることを確認します。

こうすることで、実際にプロトコルを拡張する前、実装者は未知のパラメータを受け取ったときに不具合があれば気づけるようになります。

GREASE for Frame Types

0xb + (0x1f * N) のフレームタイプをGREASE用に予約します。このフレームはまったく意味を持っておらず、PADDINGの代わりに使用できます。

具体的には、0x2A (42), 0x49(73), 0x68(104).... などのフレームタイプ番号です。

GREASE for SETTINGS

"0x?a?a" のSETTINGSパラメータをGREASE用に予約します。このSETTINGSはまったく意味を持っていません。

具体的には、0x0a0a (2570), 0x1a1a(6682), 0x2a2a(10793).... などのSETTINGSパラメータです。