5月21日に行われた WebTransport WGの中間会議で、WebTransport over HTTP/2の方向性が見えてきたのでメモとして残しておく
WebTransportの動向
WebTransportと呼ばれる新しい双方向通信の仕組みが議論されています。
WebSocketの次世代版とも呼ばれており、HTTP/3上で動作します。現在、Chrome で実装が進められていたりします。
さて、このWebTransportの標準化は、IETFでプロトコルを、W3Cでインターフェースの仕様が議論されています。
1月にあったIETF WebTransport WGの中間会議では、QUICとHTTP/3を使うもののうち、HTTP/3を使うWebTransport over HTTP/3の標準化に注力していくことが決まりました。
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5月の中間会議
5月の中間会議では以下のトピックなどが発表されました
- W3C WebTransport WGのアップデート
- WebTransport over HTTP/3について
- 仕様のアップデート状況
- ChromeのOrigin Trials及びサポートスケジュール
- 既存Issueの議論
- WebTransport over HTTP/2の仕様説明
- フォールバック先についてのコンセンサス形成
WebTransport over HTTP/3についても、結構おもしろい議論がありました。しかし、やはりフォールバック先のプロトコルをどうするかの議論が気になる方も多いと思うのでピックアップして書きます。
フォールバック先のプロトコル
UDPがブロックされている環境において、フォールバック先としてTCPベースのWebTransportを検討する必要がありました。今回の会議では、その方向性について参加者の中でコンセンサスが取られました。
議長が投げかけた質問と、ミーティング参加者のコンセンサスは次のとおりです。質問は、前提から順番に合意していく形で進められていきます。
- 質問1: TCPベースのフォールバック先を用意すべきか => YES
- 質問2: それはHTTP/2上で動作するものか => YES
- 質問3: draft-kinnear-webtransport-http2 を採用するか => YES
ミーティング内では、フォールバック先として、以前本ブログでも紹介した仕様を出発点として採用するコンセンサスが得られました。もちろん、作業の出発点ですので、今後変更されることもあります。
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引き続きメーリングリストで意見が募集されますが、特になにもなければこの方向で進むものと思われます。